そこにいた証

もう2年近く前に撮った写真になります。
ちょうどAnimaraitを始めて少しした頃ですね。
ずっとアップできずにいました。
それは、この子との出逢いの記憶が哀しいものだったから。
利根川の河川敷、どこの土手にもあるような砂利道の上にこの子はいました。
毛は疎らに抜け落ち、目脂もつけ、お世辞にも綺麗とも可愛いとも言えない風貌。
大抵の人間に「汚い」と嫌われる姿。
君はそのことを察してか、僕が近くを通っても、逃げもしなければ甘えもしなかった。
「ただ通り過ぎていく存在」とでも思ったのかもしれない。
でも、僕は君にカメラを向けた。何度もシャッターを切った。
君は本当は人間が大好きだったんだろう?
君にカメラを向け続ける僕に近付いてきた。
でも、その姿は、なけなしの気力を振り絞っているように見えた。
まるで生きることに絶望してしまったみたいに見えた。
この時、僕は君にあげられるものを何も持っていなかった。
だからすり寄ってくる君をただ撫でてあげることしかできなかった。
この時、僕は鳥を撮りに来ていて、君を残して去ろうとした。
でも、君はついてきた。ずっとついてきた。
仮に鳥は諦めても、僕には君を連れて帰れる家はないからずっと一緒にいることはできない。
だから、何かに気を取られている拍子に、君と距離を取った。
君の無気力さが、ついてくる気持ちに勝る距離を取った。非情にも。
今にして思えば、コンビニで何か買って戻ることもできた。
何度も様子を見に行こうと思ったのに、言い訳をしながら君を避けた。
僕に縋ってくる君の力に、僅かでも力添えができたかもしれない可能性を潰し続けた。
毎日世話ができる場所ではなかった。
だから、君の命への責任を担うことはできなかった。
今でも何が正解だったのか答は出ない。
ただ君に全力で向き合えなかった自分を悔やんでる。
君は僕をどう思ったのだろう?
遠くへ引っ越して来てからこんなこと書くのは卑怯だとも思った。
でも、せめてもの償いに、君がそこにいた証を残したいと思った。
きっと君はもう「向こう」にいるんだろう!?
「向こう」にはさ、僕と仲が良かった猫が何匹もいるからよろしくやってくれてると良いな。
心からそう願うんだ。
by Phoooutty | 2011-11-23 00:06 | 猫